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その記憶は本当に正しいのか。現実を疑い始める体験型展覧会

記憶汚染展

本展は、「行方不明展」「恐怖心展」などシリーズ累計約40万人を動員してきた株式会社闇による最新作です。

「記憶汚染展」は、展示を眺めるだけの展覧会ではありません。自分自身の記憶と向き合い、その確かさを疑ってみる体験型の展覧会です。私たちが「これが現実だ」と信じていられるのは、自分の中にある記憶を拠り所にしています。しかし、もしその記憶が事実と異なっていたとしたら、これまで信じてきた現実は、一体どうなってしまうのでしょうか。

本展が扱うテーマのひとつが、「マンデラエフェクト」と呼ばれる現象です。実際には存在しない出来事や事実を、多くの人が「確かにそうだった」と記憶してしまう現象を指します。

パンダの尻尾は、本当に黒かったでしょうか。ベートーヴェンは肖像画の中で、羽ペンを握っていたでしょうか。「ヴィーナスの誕生」で女神が立っていたのは、開いた二枚の貝の上だったでしょうか。

実在するものと、出典や真偽の定かでないものが混在。目の前の展示を見比べるうちに、「確かに知っている」という感覚が揺らいでいく Ⓒ記憶汚染展実行委員会

知っているはずなのに、問いかけられた途端に自信がなくなる。会場では、そうした小さな迷いを生む展示を通して、「正しい記憶」と「誤った記憶」の境界がじわじわと揺さぶられていきます。

本展最大の特徴は、来場者自身が「記憶を選ぶ」ことにあります。入場時に渡される一枚のシール。会場の一角には、実在するものと、出典や真偽の定かでないものが入り混じった展示が並びます。その中から、自分の記憶が「正しい」と感じたものを選び、シールを貼っていきます。頼れるのは、自分が覚えていることと、目の前のものを見たときに抱いた感覚だけです。

入場時に渡されるシールを、自分が「正しい」と感じた展示に貼る。来場者の選択が積み重なることで、展示が完成していく Ⓒ記憶汚染展実行委員会

会場では、こうした記憶の曖昧さを視覚化した展示や映像も展開されます。見て、触れて、覚え、選ぶ。この一連の行為を通して、記憶と現実の境界が浮かび上がっていきます。

このユニークな体験を形にしたのが、多彩な分野で活動するクリエイターたちです。制作にはエンターテインメント領域に特化したエンジニアリングカンパニー、TwoGateが参加。脚本をWebメディア「オモコロ」のライターとしても知られる作家・品田遊(ダ・ヴィンチ・恐山)氏、キービジュアルを音楽・ファッション・広告など幅広い分野で活躍するアートディレクター・永戸鉄也氏が担当しています。

「視てはいけない絵画展」を手がけたTwoGateをはじめ、漫画原作や小説でも知られる作家・品田遊氏、文化庁メディア芸術祭デジタルアート部門優秀賞の受賞歴を持つ永戸鉄也氏が集結。体験設計、物語、ビジュアルが重なり合い、オリジナリティ溢れる展覧会を創出 Ⓒ記憶汚染展実行委員会

会場を出たあとも、「自分が覚えていたことは、本当に正しかったのか」という問いはきっと残り続けます。見慣れたはずのものを、ふと確かめたくなったとき、すでに記憶の汚染は始まっているのかもしれません。


edit & write: yoko sueyoshi
会期:2026年8月2日(日)~9月6日(日)
会場:BEAMギャラリー(東京都渋谷区宇田川町31-2 渋谷BEAM 4F)
時間:10:00~20:00(最終入場は閉館60分前、所要時間約90分)※8月2日(日)のみ11:00開場
入場料:2,300円(税込)※音声ガイド付きチケット 3,290円(税込)※小学生以上一律、各種割引なし

※展示内容・開場時間などは変更される可能性があります。最新情報は公式サイトをご確認ください。
※音声ガイドの利用には、自身のスマートフォンとイヤホンが必要です。通信費は利用者の負担となります。
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