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特別展「氷河期展 〜人類が見た4万年前の世界〜」

東京・上野の国立科学博物館にて、2025年7月12日(土)から10月13日(月・祝)まで、特別展「氷河期展 〜人類が見た4万年前の世界〜」が開催されています。氷と影が織りなす冷たい世界の中で、動物や人類が刻んだ記憶が、目の前に甦る展覧会です。

約4万年前の氷河期――そこは、人類とマンモスをはじめとする巨大動物が共に暮らしていた時代でした。本展では、氷河期の自然環境や人類の営みを今に伝える約100点の展示資料を通じて、「生き延びるとは何か」「絶滅とは何か」という根源的な問いを掲げ、氷河期を生き抜いた者と姿を消した者、その命運を分けた謎に迫ります。
展覧会は3章構成で、自然史と人類史を交錯させながら、氷河期の世界を立体的に体感できる内容です。

第1章は「氷河期 ヨーロッパの動物」。ヨーロッパ北部は厚い氷床に覆われ、その南には乾燥した草原が広がっていました。ここには「メガファウナ(巨大動物群)」と呼ばれる動物たちが君臨。ケナガマンモス、サーベルタイガーなど、現在では絶滅してしまった種から、ステップバイソンやトナカイのように現在もその子孫を残す種も存在していました。

展示では、それらの動物の体格、食性、移動の様子など最新の復元研究をもとに、なぜ一部が絶滅し、一部が生き延びたのかを探ります。展示資料には、ケナガマンモス、ホラアナライオン、ホラアナグマ、ステップバイソン、ギガンテウスオオツノジカ、ケサイカなど、多彩な巨獣の写真・復元図も含まれています。

ケナガマンモスの生体復元模型 ライス・エンゲルホルン博物館所蔵

第2章は「ネアンデルタール人とクロマニョン人」。約4万年前、ヨーロッパには二つの人類が共に生きていました。逞しい骨格と強靭な筋肉を備え、狩猟生活に適応したネアンデルタール人と、比較的ほっそりとした体型で手足が長く、文化的表現を持ち始めたクロマニョン人。

本展では、その頭蓋骨の実物が日本で初めて展示されます。彼らはどのような環境で生活し、どのような道具を使い、どのように互いと関わったのか。そして、なぜネアンデルタール人は姿を消してしまったのか――この問いが胸に迫ります。

約4万年前にヨーロッパに現れたホモ・サピエンス「クロマニョン人」の実物の頭蓋骨 © MNHN – JCDomenech パリ国立自然史博物館所蔵

第3章は「氷河期の日本列島」。南北に長く、多様な環境を抱える日本列島もまた、氷河期の影響を色濃く受けています。約3万8千年前には人類がすでに日本列島を訪れていたとされ、出土した石器や化石などの復元資料を通じて、狩猟・採集・居住のかたちが紹介されます。

ナウマンゾウ、ヤベオオツノジカ、ハナイズミモリウシといった「日本三大絶滅動物」の痕跡と、氷河期の環境に適応して暮らしていた人々の暮らしぶりが浮かび上がります。資料には、用田鳥居前遺跡出土の石器、ハナイズミモリウシ(岩手県立博物館所蔵)、港川人(東京大学総合研究博物館所蔵)などが含まれ、空間的にも地域的にも多角的に当時の日本列島を描写しています。

来場者数20万人を超えてなお注目を集める「氷河期展」。動物や人類の生と死の歴史を辿る展示は、現代社会に生きる私たちに「生きるとは何か」「繋がるとは何か」を問いかける場となっています。

edit & write: yoko sueyoshi
開催概要
展覧会名:特別展「氷河期展 〜人類が見た4万年前の世界〜」
会期:2025年7月12日(土)〜10月13日(月・祝)
会場:国立科学博物館(東京都台東区上野公園7-20)
開館時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)
夜間開館:10月10日(金)〜10月13日(月・祝)、閉館時間は19:00(入館は18:30まで)
チケット:【一般・大学生】2,300円、【小・中・高校生】600円
※未就学児は無料 
※障がい者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料
※学生証、各種証明書をお持ちの方は、入場の際にご提示ください


※主催者の都合により情報が変更になる可能性があります。最新の情報はイベントHPをご確認ください。
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