イベントの開催において重要ファクターである「会場」。場とサービスの提供を通して、イベントの成功を後押ししています。そんな会場を運営する担当者の皆さんは、どのような思いをもって、仕事に向き合っているのでしょうか。
そこで、それぞれ異なる個性が光る4つの会場から担当者の方々にお集まりいただき、座談会を実施。前編では、各会場の魅力や、場が生み出す新たな価値など、幅広いテーマに関して本音で語り合っていただきました。
そこで、それぞれ異なる個性が光る4つの会場から担当者の方々にお集まりいただき、座談会を実施。前編では、各会場の魅力や、場が生み出す新たな価値など、幅広いテーマに関して本音で語り合っていただきました。
独自の空間が生み出す特別な体験。個性溢れる4会場の魅力
――今回は「TRUNK(HOTEL) CAT STREET」「住友不動産ベルサール」「シアターワークショップ」「代官山T-SITE GARDEN GALLERY」から、イベントの運営に携わっている皆さんにお越しいただきました。まずは、各会場のご紹介から、お願いいたします。
TRUNK(HOTEL) CAT STREET 宴会部イベント課セールスマネージャー 藤原諒氏(以下、藤原):私が所属する「TRUNK(HOTEL) CAT STREET」は、4つのバンケット会場を所有しており、土日は婚礼、平日は企業などのイベントにご活用いただいています。各会場のインテリアには、自然由来のマテリアルや東京のローカル素材・リユース素材を多く使用。大都会”渋谷”に居ながらも、心が休まり、ゆったりと寛げる空間をデザインしました。
例えば、「ONDEN」は壁一面に広がる窓から滝を望める、伝統的かつ和モダンな空間。「MORI」は木の雰囲気に包まれて、屋外キッチンでBBQなどの演出も楽しめます。「SORANIWA」は、屋上のガラス張りの天井から優しい光が差し込む会場で、女性に人気があります。「KEYAKI」は和のテイストを取り入れた会場で、江戸切子の照明がユニークです。
各会場ともに華美な装飾を施しておらず、お客様がレイアウトしやすいところも特徴で、お客様のニーズに合わせた多様な提案が可能です。ちなみに、1階の「ONDEN」は車を搬入できるため、新車の発表会など近隣では稀有な用途で使われます。
TRUNK(HOTEL) CAT STREET 宴会部イベント課セールスマネージャー 藤原諒氏(以下、藤原):私が所属する「TRUNK(HOTEL) CAT STREET」は、4つのバンケット会場を所有しており、土日は婚礼、平日は企業などのイベントにご活用いただいています。各会場のインテリアには、自然由来のマテリアルや東京のローカル素材・リユース素材を多く使用。大都会”渋谷”に居ながらも、心が休まり、ゆったりと寛げる空間をデザインしました。
例えば、「ONDEN」は壁一面に広がる窓から滝を望める、伝統的かつ和モダンな空間。「MORI」は木の雰囲気に包まれて、屋外キッチンでBBQなどの演出も楽しめます。「SORANIWA」は、屋上のガラス張りの天井から優しい光が差し込む会場で、女性に人気があります。「KEYAKI」は和のテイストを取り入れた会場で、江戸切子の照明がユニークです。
各会場ともに華美な装飾を施しておらず、お客様がレイアウトしやすいところも特徴で、お客様のニーズに合わせた多様な提案が可能です。ちなみに、1階の「ONDEN」は車を搬入できるため、新車の発表会など近隣では稀有な用途で使われます。
住友不動産ベルサール 営業第3部代理店営業第1課長 阿部仁実氏(以下、阿部):「住友不動産ベルサール」は、東京都内に 会議室・イベントホール など45の施設、約150室を展開しています。10名規模のお部屋から約8000名収容できる「東京ガーデンシアター」まで、幅広い規模のスペースを保有しているところが強みです。ケータリング事業もグループ会社が運営しているため、場所の提供から料理の提供まで幅広いプランを提案可能です。
各施設は、企業の研修や社内イベントに使われることが多いですが、最近は有名人のファンイベントや展示会などBtoCイベントの開催の引き合いも増えています。2020年7月1日には、東京・西新宿の「新宿住友ビル」低層部に大規模な全天候型イベント空間「三角広場」を開業し、365日イベントの開催が可能となりました。公益性が求められるスペースとあって、BtoCイベントが多く、地域の賑わいの創出に寄与しています。
各施設は、企業の研修や社内イベントに使われることが多いですが、最近は有名人のファンイベントや展示会などBtoCイベントの開催の引き合いも増えています。2020年7月1日には、東京・西新宿の「新宿住友ビル」低層部に大規模な全天候型イベント空間「三角広場」を開業し、365日イベントの開催が可能となりました。公益性が求められるスペースとあって、BtoCイベントが多く、地域の賑わいの創出に寄与しています。
シアターワークショップ 運営プロデュース部門チーフマネージャー 三田侑輝氏(以下、三田):シアターワークショップは劇場・ホールのことはなんでもやっているトータル・シアター・プロデュースカンパニーです。劇場やホールを建てる設計・施工・改修・運営のコンサルティングから開館後の運営まで、施設の役割に応じたオーダーメイドの会場運営をしています。私は主に渋谷・青山エリアのイベントスペースの運営を担当しています。渋谷ヒカリエの「ヒカリエホール」は1,000㎡のホールAと300㎡のホールBからなり、天井高7mの空間を使って多彩な演出が出来ることが特徴です。ファッション・ウィーク東京のメイン会場として利用され、多くのファッション系イベントが開催されてきました。また、音質や空間利用の工夫も凝らしており、集客力と立地からIT系カンファレンスやBtoCイベントの問い合わせも多く、様々な用途に対応可能です。
一方、渋谷スクランブルスクエア15階にある「スクランブルホール」は、SHIBUYA QWSという会員制の共創施設の中にあり、渋谷のスクランブル交差点を眼下に望むユニークなロケーションが魅力です。世界に発信する渋谷の象徴を眺める場所でのイベント開催は、多くのイベント主催者にとって意味を持ち、スタートアップ系の発表会やプロモーションイベントに最適な場所になっています。
また、キャットストリートの入り口に位置する渋谷キャストの 「渋谷キャスト スペース・ガーデン」では、館内施設との連携イベントや地域の文化イベントなど、多様なイベントを展開し、渋谷の街の魅力を高めることに貢献しています。
代官山T-SITE GARDEN GALLERY メディアプロモーションイベントマネージャー 今岡慎弥氏(以下、今岡): 代官山T-SITEの「ガーデンギャラリー」は、全面ガラス張りで、開放感があります。内装はシンプルで、イベントに応じて自由な色を出せるところが特徴です。代官山という土地柄から、アッパー層のお客様が多く、ブランドイメージを高めたい企業様にご利用いただくことが多いです。蔦屋書店と連携したサイン会や、屋外スペースを活用したポップアップイベントなど、多岐にわたるイベントに対応しています。
さらに、代官山T-SITE全体を活用した大規模なイベントも実施し、地域の賑わいを創出しています。例えば、代官山T-SITE全体を舞台にした蚤の市や、季節ごとのイベントなど、多様なイベントを通じて地域の魅力を発信。地域の文化拠点としての役割を果たし、多くの人々に愛される場所となっています。
さらに、代官山T-SITE全体を活用した大規模なイベントも実施し、地域の賑わいを創出しています。例えば、代官山T-SITE全体を舞台にした蚤の市や、季節ごとのイベントなど、多様なイベントを通じて地域の魅力を発信。地域の文化拠点としての役割を果たし、多くの人々に愛される場所となっています。
B to C イベントで幅広い層にアプローチしたい。会場の新しい活用方法を模索
――個性が異なる会場を運営されている皆さんですが、それぞれ気になっていることはありますか?とくに「ベルサール」と「TRUNK(HOTEL) CAT STREET」はタイプが大きく異なる会場だと思うのですがいかがでしょう。
藤原:確かにタイプは違いますね。一番違うところはキャパシティではないでしょうか。われわれの会場の近くに「ベルサール渋谷ファースト」がありますが、2,500名超を収容できる大規模イベントホールですよね。「TRUNK(HOTEL) CAT STREET」とは規模が違うので、悔しいですよね(笑)。負けないように、ホテルならではの付加価値を創出したいと思っています。
阿部:主催者様が目的に応じて会場を使い分けられているように感じています。基本的に我々はハコ貸しがメインなので、ホテルのバンケットスタッフのようなホスピタリティの部分は不足しています。そのため、初めてベルサールを利用されるお客様は戸惑いを感じることもあるようです。
イベントの企画が進む中で、「TRUNK(HOTEL) CAT STREET」のようにデザイナーが手掛けた華やかでおしゃれな会場や、お食事が決め手となって最終的にホテルでの開催を決めたお客様もいらっしゃいます。われわれとしても、羨ましく感じることが多いです。
――当然のことかもしれませんが、イベント会場に何を求めるかによって、選ぶ際の基準は変わるものですよね。ちなみに、「実はこんなイベントを開催したい」「こういう使い方もできる」というアイデアはございますか?
今岡:過去にも実施したのですが、期間限定で1~2週間のカフェ営業のポップアップイベントを開催した事例があります。会場を長く利用していただけますし、飲食店を通じて新たなお客様が足を運んでくださるので、非常にありがたいです。しかし、こうしたイベントの利用が少ないため、アプローチ方法を改善したいです。また、代官山のイメージ特性から、化粧品のテストマーケティングやブランドイメージを向上させるためのイベントは過去実施いただいたクライアント様からも高評価をいただきました。
三田:「ヒカリエホール」「スクランブルホール」「渋谷キャスト スペース」ともに多目的ホールなので、基本的には用途を制限せずに、様々なイベントにご利用いただきたいと考えています。BtoB向けのイベントがメインの利用用途ではありますが、BtoC向けのイベントはイベント利用者様だけでなく来場者様にも広く施設自体が認知されるため、認知拡大という意味で非常にありがたいです。
例えば、安室奈美恵さんの引退が決まった際に、ヒカリエホールで開催した「安室奈美恵 展覧会『namie amuro Final Space』」は、展覧会の決定後に引退発表があったこともあり、多くのお客様にご来場いただきました。また、今年の夏に開催した「芥見下々『呪術廻戦』展」は「週刊少年ジャンプ」で大ヒット連載中の原作が、ストーリーのクライマックスを迎えるタイミングにあり、渋谷ヒカリエ全館でコラボレーションを行ってお客様をお迎えしました。
藤原:確かにタイプは違いますね。一番違うところはキャパシティではないでしょうか。われわれの会場の近くに「ベルサール渋谷ファースト」がありますが、2,500名超を収容できる大規模イベントホールですよね。「TRUNK(HOTEL) CAT STREET」とは規模が違うので、悔しいですよね(笑)。負けないように、ホテルならではの付加価値を創出したいと思っています。
阿部:主催者様が目的に応じて会場を使い分けられているように感じています。基本的に我々はハコ貸しがメインなので、ホテルのバンケットスタッフのようなホスピタリティの部分は不足しています。そのため、初めてベルサールを利用されるお客様は戸惑いを感じることもあるようです。
イベントの企画が進む中で、「TRUNK(HOTEL) CAT STREET」のようにデザイナーが手掛けた華やかでおしゃれな会場や、お食事が決め手となって最終的にホテルでの開催を決めたお客様もいらっしゃいます。われわれとしても、羨ましく感じることが多いです。
――当然のことかもしれませんが、イベント会場に何を求めるかによって、選ぶ際の基準は変わるものですよね。ちなみに、「実はこんなイベントを開催したい」「こういう使い方もできる」というアイデアはございますか?
今岡:過去にも実施したのですが、期間限定で1~2週間のカフェ営業のポップアップイベントを開催した事例があります。会場を長く利用していただけますし、飲食店を通じて新たなお客様が足を運んでくださるので、非常にありがたいです。しかし、こうしたイベントの利用が少ないため、アプローチ方法を改善したいです。また、代官山のイメージ特性から、化粧品のテストマーケティングやブランドイメージを向上させるためのイベントは過去実施いただいたクライアント様からも高評価をいただきました。
三田:「ヒカリエホール」「スクランブルホール」「渋谷キャスト スペース」ともに多目的ホールなので、基本的には用途を制限せずに、様々なイベントにご利用いただきたいと考えています。BtoB向けのイベントがメインの利用用途ではありますが、BtoC向けのイベントはイベント利用者様だけでなく来場者様にも広く施設自体が認知されるため、認知拡大という意味で非常にありがたいです。
例えば、安室奈美恵さんの引退が決まった際に、ヒカリエホールで開催した「安室奈美恵 展覧会『namie amuro Final Space』」は、展覧会の決定後に引退発表があったこともあり、多くのお客様にご来場いただきました。また、今年の夏に開催した「芥見下々『呪術廻戦』展」は「週刊少年ジャンプ」で大ヒット連載中の原作が、ストーリーのクライマックスを迎えるタイミングにあり、渋谷ヒカリエ全館でコラボレーションを行ってお客様をお迎えしました。
阿部:「ベルサール」はこれまで、主に住友不動産が開発するオフィスビルのテナントや近隣企業のBtoBイベント利用が多かったのですが、今後はBtoCイベントの誘致を積極的に行いたいと考えています。
その一例として、2024年7月10日から10月29日まで、「ベルサール新宿南口」で初の長期展示イベント「Immersive Museum TOKYO」の開催があります。ベルサール新宿南口はオフィスビルの足元に位置しつつも、近隣の商業施設にも恵まれています。このイベントはすでに多くの方に注目していただいており、これまでベルサールをご利用いただいていた層とは異なる層のお客様に来場いただけるため、認知拡大にも寄与すると考えています。
その一例として、2024年7月10日から10月29日まで、「ベルサール新宿南口」で初の長期展示イベント「Immersive Museum TOKYO」の開催があります。ベルサール新宿南口はオフィスビルの足元に位置しつつも、近隣の商業施設にも恵まれています。このイベントはすでに多くの方に注目していただいており、これまでベルサールをご利用いただいていた層とは異なる層のお客様に来場いただけるため、認知拡大にも寄与すると考えています。
藤原:「TRUNK(HOTEL) CAT STREET」のコンセプトには「文化」の要素も含まれており、渋谷という情報発信地で何かを伝えたいという思いがあります。個人的なアイデアではありますが、外国籍スタッフも多いので、例えば「アメリカの感謝祭でなぜ七面鳥を食べるのか」など、異文化を紹介するイベントを開催したいと考えています。一方的に伝えるだけでなく、インタラクティブな会話ができる場を提供し、海外に興味関心を持つ渋谷の人々に発信できるイベントを自社企画として展開できたら楽しいなと思っています。
edit & write: yoko sueyoshi
photo : hideki ookura
edit & write: yoko sueyoshi
photo : hideki ookura